働き方の変化に左右されない「自分退職金」を育む視点「退職金は、もらえるもの」そう考えている人は、今どれくらいいるでしょうか。企業に勤めていれば、定年まで働いた先にまとまった退職金がある。公務員なら老後は安泰。そんなイメージは、少しずつ現実とズレ始めています。一方で、退職金が見込めない働き方をしている人の中には、「まだ先の話」「今を楽しみたい」と、老後を具体的に考えないまま過ごしているケースも少なくありません。しかし、退職金が多いか少ないか、あるかないかに関わらず、10年後・20年後に“蓄え”があるかどうかで、人生の選択肢は大きく変わります。本記事では、「退職金」という言葉を少し広く捉え直し、働き方の変化に左右されない「自分退職金」という視点から、今できる備えについて考えていきます。退職金が1,000万円以上見込める人は、実は少数派まず現実を見てみましょう。1,000万円以上の退職金を見込める職業に就いている人は、決して多数派ではありません。退職金制度が整っている企業や公務員を選んだ人は、若いうちから「安定」や「老後」を意識していた可能性が高いとも言えます。ただし、その退職金を受け取るためには、何があっても定年まで働き続けることが前提になります。・会社の業績・自身の健康・親の介護・働き方や価値観の変化どれか一つでも想定外のことが起きれば、「予定していた退職金」は簡単に崩れてしまいます。退職金が「ないかもしれない」人ほど、楽観的になりやすい一方で、退職金が将来の老後を支えるほどないかもしれない人の中には、自分の将来をどこか楽観的に捉えているケースも見受けられます。20代・30代の多くは、今の生活や仕事、子育てや住宅ローンで精一杯。老後は、まだ実感の湧かない遠い世界です。特に住宅ローンや子育てが重なる時期は、老後は「死後の世界」と同じくらい現実味がない、そんな感覚を持っていても不思議ではありません。そして、気づけば50歳前後。子どもの独立が見え始め、ようやく自分の老後に目が向くようになります。蓄えがあるかどうかで、人生の選択肢は変わる退職金が多く見込める人も、そうでない人も。20代でも、50代でも。共通して言えることがあります。それは、10年後・20年後に蓄えがあるかないかで、その後の人生の選択肢に大きな差が出るということです。蓄えがあれば、・体調の変化に合わせて働き方を変える・親の介護に時間を割く・収入が下がっても精神的な余裕を持つ・お金を使いながら、さらに増やす選択をするといった柔軟な判断が可能になります。逆に、蓄えがなければ、「働き続けるしかない」という選択肢しか残らないこともあります。「自分退職金」という考え方ここで私たちが提案したいのが、「自分退職金」という考え方です。これは、会社や制度に依存する退職金ではなく、自分で育てていく“将来の選択肢を増やす資金”のこと。退職時に一括でもらうかどうかは本質ではありません。大切なのは、・いつまで働くか・どんなペースで働くか・働き方を変える余地を持てるかを、自分で決められる状態をつくることです。継続できなければ、意味がない「老後のために」と、最初から大きな金額を積み立てようとする人は少なくありません。しかし、途中で資金不足に陥り、やめてしまっては元も子もありません。資産形成で最も重要なのは、継続できることです。・家計に無理のない金額・精神的に負担にならない水準・途中で見直しができる柔軟さこれらが揃って初めて、「自分退職金」は育っていきます。始めた金額の大小よりも、続けられる仕組みをつくれているかが重要です。若いうちに完璧を目指さなくていい20代・30代に、老後を完璧にイメージできる人は多くありません。それでも構いません。大切なのは、「最低限、続けられる一歩」を踏み出すこと。少額でも、自分の将来のためにお金を回す経験を積むことで、お金との向き合い方は確実に変わっていきます。将来が近づいたときに、選択肢が「ある」状態をつくること。それが、自分退職金の本質です。お金は「安心」だけでなく「自由」を生む退職金や老後資金というと、「生活のため」「不安をなくすため」という側面が強調されがちです。しかし、実際にはそれだけではありません。蓄えがあることで、・無理な働き方をしなくて済む・休むという選択ができる・やりたい仕事に挑戦できるお金は、人生の自由度を高めるための道具でもあります。今の働き方が、ずっと続くとは限らない時代に雇用形態は多様化し、転職や副業が当たり前になりました。「今の会社で定年まで」という前提自体が、成り立たなくなってきています。だからこそ、退職金を「もらうもの」ではなく、「育てるもの」として捉える視点が必要です。クリエイティブ・ライフが大切にしていること私たちクリエイティブ・ライフが大切にしているのは、「今」と「将来」を切り分けず、人生全体を一つの流れとして捉えることです。・今の生活を楽しむこと・将来の不安を減らすこと・働き方の選択肢を残すことそのすべてを同時に考えるお手伝いをするのが、ファイナンシャルプランナーの役割だと考えています。「いつまで、どう働く?」を自分で決めるために退職金がある人も、ない人も。若い人も、これから老後が近づく人も。共通して目指したいのは、「選ばされる人生」ではなく、「選べる人生」です。そのために必要なのが、継続できる形で育てる「自分退職金」。完璧である必要はありません。大きな金額である必要もありません。今の自分にできる一歩を、無理なく、長く続けること。それが、働き方の変化に左右されない未来への、最も現実的な備えだと、私たちは考えています。