相続などをきっかけに、誰も住んでいない家をそのまま所有しているというケースは珍しくありません。「住んでいないのだから保険はいらないのでは?」そう考える方も多いでしょう。しかし、空き家を取り巻く状況はここ数年で大きく変わっています。税制、社会問題、そして保険の取り扱いも含めて、以前とは違う注意点が増えてきています。本記事では、空き家と保険の関係について、火災保険の仕組みやリスクを整理しながら解説します。空き家が増え続ける日本の現状現在、日本では空き家の増加が社会問題として取り上げられています。親から相続した家や、転居後に使われなくなった住宅など、住む予定のない建物が増えているためです。これまでは、住んでいなくても建物を残しておくことで、住宅用地の特例により固定資産税の負担を抑えることができました。そのため、将来使うかもしれない壊すと費用がかかる売却の予定もないといった理由で、空き家のまま放置されるケースも少なくありませんでした。しかし現在は、管理がずさんな空き家に対して自治体が行政指導を行い、改善されない場合は特定空き家として認定される可能性があります。そうなると住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が大きく増える可能性もあります。つまり、空き家は「持っているだけ」の状態でも、リスクを伴う資産になりつつあります。空き家は火災リスクが高い保険の観点から見ると、空き家は一般住宅よりリスクが高い建物とされています。理由の一つが管理状態です。住んでいる住宅は日常的に掃除や点検が行われますが、空き家はそうとは限りません。そのため、可燃物が溜まりやすい建物の劣化に気づきにくい不審者の侵入や放火のリスクが高いといった問題が起こりやすくなります。こうした理由から、空き家は通常の住宅より保険料が高く設定されることもあります。空き家に住居用火災保険は使えないことも空き家で注意したいのが、保険の契約区分です。一般的な火災保険は「居住用住宅」を前提としています。つまり、生活の本拠として使われている建物です。しかし空き家は、生活拠点ではない今後住む予定もないという場合、住居用住宅として扱われない可能性があります。その場合、契約内容が合っていないと、事故が起きたときに保険金の支払いで問題が生じる可能性があります。過去には、契約内容を修正して差額保険料を支払うことで対応されるケースもありましたが、最近は保険会社の審査が厳しくなっているという指摘もあります。つまり、「空き家なのに住宅保険のまま」という状態は注意が必要です。建物が燃えても困らない?それでも保険が必要な理由空き家の所有者の中には、こう考える方もいます。「古い家だから燃えても困らない」「いずれ壊す予定だから保険は不要」確かに、建物そのものの価値が低い場合もあります。しかし、火災が起きた場合に問題になるのは、建物の価値だけではありません。たとえば、焼け残った建物の解体費用瓦礫の撤去費用廃材処理費用といった後処理の費用が発生します。建物の規模によっては、数百万円単位の費用がかかるケースもあります。「燃えても構わない」と思っていても、その後の処理費用まで考えている人は多くありません。隣家への被害リスクもう一つ重要なのが、周囲への影響です。空き家が密集した住宅地にある場合、火災が発生すると隣の家に燃え移る可能性があります。日本の法律では、通常の失火であれば隣家に対する賠償責任は発生しないケースもありますが、実際にはトラブルになることもあります。また、火災以外にも台風で屋根が飛ぶ老朽化した壁が倒れる木が倒れて隣家に被害を与えるといったケースも考えられます。こうしたリスクを考えると、空き家でも何らかの保険を検討する意味はあります。「空き家保険」は考え方次第空き家の保険は必ず加入しなければならないものではありません。極端に言えば、建物が燃えても問題ない解体費用もすぐ払える周囲へのリスクも許容できるというのであれば、保険に入らないという判断もあり得ます。しかし実際には、将来売却するかもしれないいずれ解体する予定近隣住宅が近いといったケースがほとんどです。建物が存在する限り、リスクはゼロにはなりません。空き家こそ「目的を整理する」空き家の保険を考えるときは、まず次の整理が重要です。今後住む予定があるのか売却予定なのかしばらく保有するのか解体予定なのか別荘やセカンドハウスのように将来使用する予定がある建物と、完全に空き家として放置されている建物では、保険の考え方も変わります。空き家問題は、保険だけで解決するものではありません。管理、税金、将来の利用などを含めて判断する必要があります。まとめ|空き家は「放置」が一番のリスク空き家は、住んでいないからこそリスクが見えにくい資産です。火災老朽化倒壊放火税制変更など、さまざまな問題が絡みます。保険に入るかどうかは最終的には所有者の判断ですが、少なくとも「何も考えずに放置する」という状態だけは避けるべきでしょう。クリエイティブ・ライフでは、保険だけでなく、家計や資産全体の視点から、空き家のリスク整理についてもご相談をお受けしています。空き家をどうするか迷っている方は、一度立ち止まって「将来どう扱う建物なのか」を整理してみることが大切です。